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EXPO70におけるアメリカ館が、かつての水晶宮のように、以後の建物に影響を及ぼすかどうかは、今、誰も予見できません。
これは、歴史の評価を待つ意外にありません。しかし、私達が疑いもなく言えることは、水晶宮と同じように、この空気構造が技術開発の所産によるものであり、新しい建築の可能性を開く、工学的功績のあるものであるということです。そういう意味で、アメリカ館は、EXPO70における最も意義のある建物の一つであるといえるでしょう。
この建物は、現代の私達の機械化時代によく適合しています。静的な木材、コンクリートおよび鋼構造に対して、この建物は動的な機械であると言えます。どうして、機械かと言うと、電気なくしてこの送風機が回転せず、送風機なくしてはこの建物の形態が成り立たないからです。構造体全てが機械のシステムに他ならず、それなくして構造体は成り立ちません。
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万博終了後行われた火災実験の様子 |
建物内に必要とされる空気の換気量は、収容人員毎時10,000人につき、毎分約40,000立方フィートとなります。取り入れられた新鮮な空気の量が、他ならぬ屋根の形をつくりあげます。ここでは空気が二つの機能を持つ。一つは必要に応じての閉ざされた空間の環境調節であり、もう一つは、この建物を支える目に見えない空気の柱となることです。
このような機会は、工業による公害から、人々を保護するため、完全な人工環境を作ることを余儀なくされるかもしれぬ今日、その適応性が認められます。「子供達が、巨大な空気構造で覆われた、公園の木陰で遊んでおり、そこには都会特有の排気ガスや、ほこりも感じられない」というようなことを私は心に描いています。
(太陽工業カタログ「The Tent」より) |
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